8/9 トゥバ出国

さて、もうトゥバから帰らねばならない。今回の旅程では、自然が豊富な場所に滞在することに重きを置き、街の滞在は短いのだ。朝食を摂っていると、今回の旅行に関連して日本とトゥバ/ホーメイの交流についてのニュースが放映された。巻上公一氏のインタビューなどがトゥバのテレビに流れている。レコーディング風景のところで、今回連れて帰ることにしたムングンオールのドシュプルールが映っていてなんだか嬉しい。



朝食後、ホテルに現れたセベックさんとお別れ。この後は所用で行かなければならないそうだ。変え難い経験についての感謝を(言葉が不自由ながら)伝え、何度も握手をして抱き合う。セベックさんは「じゃあね」と手を振ると、いつものように飄々と立ち去っていった。



クズル出発…の前に、まだひとつイベントが潜んでいた。当初の予定では副大統領に会うことになっていたが、都合がつかずにそれは叶わず。その代わりといってはなんだが、我々をとある場所に招待すべく、今日もあのロシアンジープが登場した。…1台。エルジェイには2台で分乗しておりましたが。



定員を超えてぎゅうぎゅう詰めのジープは、街を抜けて山へと向かって行く。エルジェイで大概の悪路には慣れたと思っていたが、また違った趣きの悪路が続き、更に途中でお坊さんも乗車して、ガタゴト揺られること数十分。街から見たらおおよそ車で行けるとは想像出来ない山の頂上に到着した。見渡すと、荒涼とした山々と瑞々しい川、そこに寄り添うように集まっているクズルの街のパノラマ風景が広がっている。なにやら建設中のようで、工事中と思しき一角もある。一体、此処で何が行われるのだろうか。

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暫くして、お坊さんのお話が始まった。トゥバと仏教のこと、ソビエト政権下にも細々と信仰が続けられたこと、ソビエト政権崩壊後にその継続が実を結んだこと、それと引き換えに別の社会問題が生まれつつあること。この頂上には信仰の象徴として、ひとつの大きな仏陀を建設する予定なのだそうだ。その大きな計画の開始を我々に紹介すべく、この場所に連れてきてくれたのだった。下山する途中、完成した仏陀の建つ山とそこへ向かう道はどのような風景になるのかなと想像した。



そして今度こそ本当に、クズルでの全てのイベントが終了。あれこれ一体幾つの出来事があっただろうか。ホテルに戻ると、この街で会った人々が皆、出発前の我々を見送るべく終結していた。人々の力強さと繋がりのエネルギーが、トゥバの魅力のひとつであるのだなと思った。ホテルで急いで昼食を摂り、身支度を整える。ホテルのロビーに戻って(飽きもせずだが)お土産屋さんを見てみると、数名はもうお店の中に入って品物を物色していた。今回の我々にとってのショッピングのメインはここであると言える。



その後、ホテルの外で色々なひととお別れの挨拶。少々お使いで届け物をしたアンドレイ・モングシュは、わざわざ仕事の合間に挨拶しに来てくれてアルバムをプレゼントしてくれた。舞い上がって記念写真を撮る。先ほどのお土産屋さんのおばちゃんも「プレゼントよ」と、滞在したホテルのマグネットを皆にくれた。



さてさて、今度こそ本当にクズルとお別れだ。あー泣いてしまいそう。ほんの数日間の出来事とは思えない、このひとたちとのお別れが本当に名残惜しい。ウッペイさんにも、出来る限りの謝意を伝えて抱き合った。ウッペイさんは我々を自分の息子たち娘たちと呼んだ。教えてもらった曲を一緒に歌い、そしてお別れ。車はホテルを立ち去った。

※ちなみに、引率者としてアバカンまで同行するオトクンさんは、車に乗せても乗せても別れを惜しむべく、ぽろぽろと出てきてしまう我々のお守りを指して「羊飼いの気分だ」と言っていた。



車はクズルを発って数日前に来た道を引き返す。今度はクズルからアバカンまで直行の強行軍だ。数時間ほど車は走ってトゥバからクラスノヤルスクに入り、行きで宿泊したエルガキキャンプにまで戻ってきてトイレ休憩。ほんの数日前の滞在が、やけに懐かしい思い出のように感じる。キャンプ入り口近くの家に目をやったが、あの人なつっこい噛み付き犬とは再会することは出来なかった。

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キャンプを出てちょっと進んだところで、サヤン山脈が見渡せるという場所に停車。双眼鏡をお借りして山を見渡す。サヤンをバックに記念写真、ガードレールに置かれた瓶を狙って石で的打ち大会などなど。

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更に進み、日本でいうところのパーキングエリアのようなところで休憩。数軒のお店と出店が軒を連ねている。シャシリクを食し、アバカン製ビール『アバカンスカヤ』で乾杯など。エルジェイで飲んだイワン・チャイは無かったが、それに近いお茶をお土産に購入。袋詰め商品が品切れになってしまったらしく、在庫の茶葉をビニール袋に雑に詰めて「はい」と渡される。「ちょっと多めに入れておいたわよ」と店主の女性。

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車に戻り復路行軍。ちらほらと家も目に入ってくるようになってきた。雲の隙間から陽光が射し込んでいる景色を眺めて「あれってなんて言うんだっけ」などと社内で話す(その後、調べてみたら『薄明光線』というらしい)。そのうちにうとうと眠ったりしつつ、車はアバカンへと戻って来た。もうすっかり夜だが、陽が長いので今日の長い行程の実感はあまり無い。ホテル前で、アバカン再会出来るかなと思っていたセルゲイさんとやはり会うことが出来た。嬉しい。5人の娘さんたちを連れてきてくれた。ホテルで暫く休んでから、近所で食事しようということになった。

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アバカンは想像していたよりもずっと都会で、モダンなお店が立ち並んでいた。ホテル近くのレストランに入る。コーラが売っていて、おお!久しぶりに近代文明の味!と思って買ってみたが、炭酸も味も薄い不味いものでがっかりした。手堅くいくべきだった。このレストランは入ってすぐに「閉店時間です」とのことで、数名で一軒ハシゴする。セルゲイさんとはここでお別れだ。ちょっと高級そうなレストランで食事とビール。帰る頃にはすっかり夜更けだが、出発前集合は3:30。とりあえずホテルに戻って(またもや)フロントでお土産を物色、その後で風呂に入り、1時間も寝ることが出来ないまま、身支度して出発の準備を整えた。

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アバカンの空港は早朝から、ちらほらと人が居た。お土産屋さんのうち数軒は既に開店していて、うち一軒のアクセサリーなどのチョイスが良い店を覗く。ショーケースには(ハカスではなく)アルタイ製の口琴がいくつか並べられていた。そのうちのひとつは見たことがなくケースも素敵だったので、2,000ルーブル超と値が張ったが(空港料金であろう)購入した。サハの口琴を彷彿とさせるが、弁はサハのそれとは違って柔らかい。



空港の手荷物チェックで1時間ほど待たされる。入り口が開いて中に入り、荷物チェック。長い間ずっと旅の案内人だったオトクンさんともここでお別れだ。オトクンさんは入り口から顔を覗かせ、我々がスムーズに荷物チェックを済ませられるよう空港の係のひとに声を掛けてくれていた。



アバカン空港は、荷物チェックを抜けた先にチケットカウンターがある。荷物を預けてから纏めてチケットを受け取り、パスポートチェック。その後で再度X線検査だ。楽器を持っていたが、特になにも言われることなく通過することができた。奥の待合室で暫く待ったのちに搭乗。飛行機までてくてくと歩いて乗り込む。見渡すと、都会と思っていたアバカンも周りは自然が豊富だ。モスクワでの山火事の影響からか出発時間は遅れ、朝の7時を過ぎてから、飛行機は空へと飛び立った。
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by yoshi_nora | 2010-09-05 04:18 | 2010トゥバ


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