3/22(日) その5 標高3,150M

立ち往生中の工事車両を横目に、てくてくと歩を進める。まばらに建つ家のてっぺんにはためく布を指して質問する。「あれはなに?」

ブータン(チベット仏教文化)では、至るところで大量の布が張られているのを目にすることができる。質問したのは『グン・ダル(Goen Dhar)』というもので、家の護りと安全を祈願するものらしい。その他、突き立てられた長い棒に布が付いているものを『ダル・シン(Dhar Shing)』、紐に括り付けて横断幕のようにしているものを『ルン・ダル(Lung Dhar)』(書籍ではルンタという言葉を目にしたので、これはヒアリング間違いかもしれない)といい、このふたつは特に、もう至るところに存在する。『ダル・シン』には108の死者の名前が書いてあり、輪廻転生を願うという。『ルン・ダル』には風を象徴する馬と経文が書かれており、五大精霊を意味する色分けが成されている。

 ・赤は、『火』
 ・青は、『空』
 ・白は、『雲』
 ・緑は、『水』
 ・黄は、『土』

『ダル(Dhar)』が、旗的なものを意味するのかなと(勝手に)予測した。

いずれも高所を好んで設置されている。高いところから吹く風に乗り、国中に祈りの言葉が届きますようにという意味らしい。最初は面白がって(不謹慎だ)写真に沢山収めたりしていたが、先のチョルテンとダルシン、ルンダルはあまりにもあちこちに存在するので、途中からはその風景が至って普通という感覚になった。

そんな風景を眺めつつのんびり歩いていると、後ろから車が連なってやってくる。どうやら工事車両が通り抜けて道が空いたようだ。車と合流して乗り込み、あらためて出発する。



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ほどなく、遠目に大きな建物が見えてくる。これはゾンだったかゴンパ(僧院)だったか…失念してしまった。



そして、ドチュ・ラ(ドチュ峠)越えに向かい、延々と山道を登ってゆく。目指す頂上は、遥か3,150M。ずっと上りが続くのかと錯覚してしまいそうだが、しばらくして峠の頂上が近づいてきた。「頂上からは、晴れていると遥かヒマラヤを見渡せるのだよ」、とのことで期待したが、残念ながら雨男がちなのか、パロに続いて頂上に着いた時も、ぽつぽつと雨が降ってきており、雲は厚く垂れ込めていた。「とても綺麗なので、是非見せたいのだけれど…、残念。でも帰りにまた通るから、その時にきっと見れるよ!」との言葉に、復路に期待する。(復路は、更に痛い目に合うことになるのだが、それはまだ知る由もなかった)

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ドチュ・ラの最高地点には、沢山のチョルテンが並んでいた。そして、木々には無数のルンダル。高いところという点では、此処は格好の場所に違いない。吹く風は強く、確かに遥か遠く、低地の街々にまで行き渡ると思わせた。

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犬は、本当に何処にでも居る。



d0007234_3191492.jpg峠の最高地点を過ぎ、あとは下りでさくさくと。…と思いきや、下りと上りが交互にやってくるようだった。一応は下っていっている。はず。「ちょっと休憩しよう」と立ち寄ったのは、「ドチュ・ラ・カフェテリア」。一番高いところに在るカフェ、らしい。車から降りて更に階段を登りつつ、標高も高いし酸素も薄いし大丈夫かしら、と若干身構えていたが、あまり普段と変わりはなかった。

d0007234_3192443.jpg「ここで暖まるとよいよ」と、ストーブ近くに席を用意してくれた。暖まりつつ、お茶とビスケットでふーっと一息。あとは、峠を下れば今日の目的地。もう一息だ。(たぶん)




休憩後、カフェテリアの階段脇に目をやる。先ほどのルンダルが連なっている。手の届くところで見るのは初なので、まじまじと見る。
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さて!目的地まであとちょっと。がんばろう!と出発。
(ぼくは車に乗っているだけだが)



木、木、木、、、。木と山と荒れた舗装路が延々と続く。当たり前だが、山道は変わり映えが無い。それでも飽きずに外をずーっと眺めていると、前方の道端になにかが居る。

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「あ、ヤクだよ。見たことある?」「えー、無い」。車を停めてもらい、横をのしのし通り過ぎるのを見守る。ヤクは寒いところを好む。より気温の低い高地を目指して歩いているようだ。

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ん?よんだ?

(思い返すと、ヤクか牛か、あとになって若干自信がなくなった)



更に下る下る。大分経って、街らしきものが見えてきた。今日の目的地ワンデュ・ポダンだ。…や、やっと着いた。長らく移動してきた感覚だが、思い返すと、今日の午前にブータンに到着したのだなあ。たった半日と思うと、随分時間の経つのが遅く感じる。



d0007234_3204826.jpg宿に着くと荷物を降ろし、夕食前にレストランでお茶。ガイドの職務中は民族衣装の『ゴ』を着ていてブータン感たっぷりのウゲンとタシだったが、本日のお仕事は挙がりということで洋服に着替えていた。一気にカジュアル。曰く、日中の仕事中はフォーマルな格好として『ゴ』を身につけるが、オフは洋服らしい。

お茶をしつつ、ブータン語である『ゾン・カ』について教えてもらう。チベット語とほぼ共通らしいが、どちらにしろ全く分からない。ホーメイを知るようになってから言葉と発音について興味を覚えるようになったのだが、特に母音の種類などが気になって仕方ない。ゾン・カは日本語と同じく『ア・イ・ウ・エ・オ』らしく、なかなか興味深い(専門的な知識は、当然ながら無いので只の興味本位ではあるが)。「あれは?」「これは?」と根堀り葉堀り質問していると、「…とと、そろそろ夕食も近いから、慌てずとも明日以降もゆっくり教えるよ」と。ちょっと食いつき過ぎたか。



部屋に一旦戻ると、疲れがどっと出てうっかり眠ってしまった。宿のお兄さんが呼びに来てくれて眼が覚める。ごごめんなさいね。

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夕食は、お昼と同じ感じで米と、幾つかのおかずを取り分ける形。だが、相変わらず美味しい。旅行者向けとはいえ、食でつらい思いをすることはなさそうだ。疲れを取り戻すべく沢山いただく。



満腹になって部屋に戻ると、またうとうとと眠くなってきた。シャワーは明日に回して(ドライヤーが無い、というのもある)、とっとと就寝。たまに聴こえる犬の鳴き声以外、音は皆無というくらい静かな空気が心地よく、当然ながらあっさり就寝。長い1日だった…!
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by yoshi_nora | 2009-06-07 23:59 | 2009ブータン


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