カテゴリ:2009ブータン( 23 )

3/25(水) その1 ハネムーンカーの男3人

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朝、天気のよい日が続いている。今日はこれから西はティンプーまで引き返す長い旅だ。数日前に通った道を今度は引き返して行く。往路で見たチェンデブジ・チョルテンを横切り再びペレ・ラへと差し掛かる。



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往路でも立ち寄ったカフェで休憩をとる。数日前に階段脇で寝ていた犬は、まったく同じように今回も寝ていた。むくりと起き上がり「お客だー」と一緒に階段を下りる様もまったく一緒だ。

今回は紅茶と一緒にバター茶も出してもらった。初めて口にするバター茶は、なんだかスープのような味わいがした。休憩中はどんどんお茶を注いでくれる。が、さすがに飲めないので、No thanksをあらわすゾン・カの『ミシュ』と言ってみたら、カフェのお姉さんは笑いながら、「ミシュと言うときは、口元に手を添えるのよ」と教えてくれた。

ガイドのウゲンは、カフェ横のお土産屋さんからダムニェン(残念ながら民芸雑貨くらいのもの)を持ち出して弾く真似をしてみせる。ぼくが楽器に興味を持っていることを知ってのことだろう。「弾いて!」とお願いすると、「あー、弾けない…」と正直に告白。ドライバーのタシを指差して、「でもタシは上手いよ」「え、ほんと?」。タシはダムニェンを構えると…「えっと、弾けないです」。一瞬信じてしまったが、無茶ブリだったようだ。



しばらくしてからカフェを後にして、犬と降りた階段を今度は登っていく。車に戻ると、真っ赤なシャクナゲの花でデコレートされていた。実は休憩している間に、ドライバーのタシが摘んできてくれていたのだ。白い車に赤い花が映えるその様は、あたかもハネムーンカーのようである。そのハネムーンカーに乗り込む男3人。以後、我々の車はあちこちで指をさされることとなったのであった。

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つづく
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by yoshi_nora | 2009-10-08 23:59 | 2009ブータン

3/24(火) その3 牛さんピンチ

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復路…の前に、ジャカルもといチョコルの街を少し歩く。川の近くに佇むこの街は、ブータンの他の街と同じく然程広くもない。てくてく歩いていくと、本当に10分程度で街外れにまで来てしまう。途中で土産屋さんで幾つかお土産を物色し、いよいよ西へ引き返すことになる。



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復路に差し掛かったところで、早速停車。往路で見た学校は、授業中なのか校庭に人はおらず静かだった。この辺りはチュメというところで、ここは織物で有名な地域だ。中でも観光向けに商品展開をしている有名なお店に立ち寄る。店の軒先で織物を実演して見せるところが特長とのことだ。商品はというと、値札がついておらず、値段を尋ねるといちいちふっかけてくる点が煩わしい。壁に掛かるダム・ニェンの方が気になる。ここでもお土産を幾つか物色して後にする。



再びヨトン・ラへと足を踏み入れる。往路はすわ、と身構えていたが、復路はすっかり油断して、疲れもあってうとうとと越えていく。

と、山道の先のカーブで車が数台停まっている。人が集まって来ているようだ。なんだろう…と、道端に目をやると、壊れたガードレールの鉄筋の骨に、牛が引っかかってしまっていた。道側の高台からちょうど踏み外してしまっており、宙吊りになっている状態だ。慌てて車から降りて、皆で鉄筋部分を力ずくで下に折り曲げる。えい、えい、とやっていると少しずつ曲がっていき、牛は地に足を着けた。今度は引っかかったところを外してやると、牛は「あー恐かった」とばかりに、のそのそとその場を離れていって、まるで何事もなかったかのように草を食み始めた。

ちょうど眼の辺りを引っ掛けていたので気になったが、瞼のところだったようで、眼は大丈夫で一安心する。(などと言っているが、ウゲンとタシが素早く行動したおかげで助かった。ぼくはあまり役に立っていなかった)

牛さんがピンチを切り抜けたことと、自分が此処に旅行に来て丁度その場に遭遇したことを(無駄に)紐付けて考えていたりとしているうちに、またうとうとと…しばらく眠ってしまった。



もし「寝てたでしょ」と聞かれたら、反射的に「いや、寝てないっすよ」と返してしまいそうな、ぐわんぐわんな状態で眠ったり起きたりの狭間を繰り返しているうちに、目的地のトンサの街(往路では通過した)に着いた。もう夕方だ。トンサ・ゾンの見学時間はぎりぎり間に合ったという感じだ。

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トンサ・ゾンは、外観と中庭だけを見ることができた。元々なのか、それとも夕方のお務めの時間なのか、僧エリアの方は拝見することは叶わなかった。壁画を見ながら説明を聞く。



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トンサ・ゾンを後にしてから、トンサの街を散歩した。斜地にひしめき合っているためか、やはりとても狭い。ぐるっと回って、あっと言う間に元の場所へと戻って来た。トンサのカフェで一旦お茶して休憩。

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トンサの街から少しだけ離れた、往路で見た展望台近くに今日の宿があった。宿からも、遠いながらも、ちょうどトンサの街が一望できる形だ。ガイドのウゲンと共に夕食を摂りながら、ゾン・カについて教えてもらう。んーテキストが欲しいな。他にサッカーや野球、クリケットの話など。野球はブータンでは全然知られていないらしく、ルールも分からないと言っていた。クリケットは、隣国インドの影響からある程度知られている。



食事後、部屋へと戻る。水は大丈夫?お湯は出る?トイレは流れる?と気に掛けるウゲンはいいひとだ。おやすみ、と就寝。

つづく
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by yoshi_nora | 2009-09-11 02:21 | 2009ブータン

3/24(火) その2 エンコ詰める

ぶーん…

車は走り去って行った。次の目的地までは車では迂回する必要があるらしく、それでは我々は歩こうじゃないかということになった。

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「その前に…ちょっと待ってて」とガイドのウゲンは道端のお店へと入って行った。後から覗いてみると、日常の雑貨屋さん。お菓子とジュースを買っていた。彼はお菓子をよく食べる。「はい」とライチジュースをひとつ貰った。それともうひとつ。乾燥させたヤクチーズ。とても固い。話のタネに食べてみろということだった。口に含んで、ちょっとずつかじって削っていくらしい。非常に顎が疲れるが、一向に小さくならない。ほおばりながら歩を進める。



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一寸歩いたところで、川にかかる吊り橋が見えてきた。そこから川向こうに渡る。流れる川はとても綺麗だ。川沿いをしばらく歩く。

ガイドのウゲンは、日本の文化に興味があるらしく、話せないまでも会話の合間々々に起用に日本語を挟み込む。「よく映画を借りて見ているよ。DVDで」。「DVD?へー、なんか、イメージと合わないなあ」。「プレステで見てるんだよ」。プレステて!偏見なのだろうと思いつつ、ブータンと聞いて思い浮かぶイメージよりも大分都会だ。

「ヤクザ映画が好き。ニンキョー(ここ日本語)!ヤクザは本当に日本に居るの?」と。ヤクザは任侠、仁義を尊ぶけど、実際は危ないから(無いけど)遭遇することがあったら、気をつけてねといったニュアンスのことを説明するが、英語が不慣れで難しい。「マフィアみたいな」「そう、マフィア」「ワーオ」といったやり取りをしつつ歩く。

日本語をもっと知りたい、ということでワンポイントレッスン。「エンコ詰める」。「???」「cut your little finger」「ワーオ」。と話しながら歩く。

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しばらく歩くと、目的地であるタムシン・ラカンへ到着した。中では少年僧が勉強に励んでいる…と、ちょうど昼休みで休憩になったようだ。中へと入る。本堂へは入ることはできなかったが、ここタムシン・ラカンには15世紀当時の仏壁画が残るという場所だ。痛まないように明かりも点いておらず、懐中電灯を持参して、壁にかかったカーテンを捲って拝見する。

ぐるりと一通り回ったところで、鎖の固まりが置いてある場所に出る。これを背負ってお堂を一周すると、自分の悪気がとれるとのことだ。「重いけど、やる?」。当然、やる。ひいひい言いながらぐるりと回る。これで悪いものは落ちたかしら。



外に出ると、車が到着していた。「次は、Burning Lakeだ」。次の目的地は、メンバル・ツォ。メンバル=炎で、ツォが湖。これ即ちBurning Lakeということだ。何故このような名前が?

曰く、ペマ・リンパの伝説の湖とのことだ(ちなみに、己の勉強不足のため、この辺りから色々な人物名が一瞬混同し始めている)。ペマ・リンパは、パドマ・サンバヴァが隠したとされるテルマ(埋蔵法典)を見つけたひとで、灯りとしてバターランプを持ったまま湖に飛び込み、テルマを持って上がってきた時には、その手に持つバターランプの火は、尚も煌煌と燃えていたという。これに由来してメンバル・ツォという名前がついたという訳だ。



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木々と草とルンダルとが生い茂る道を下っていくと、湖に到着した。水は澄み切っていて、静かななかにせせらぎが聴こえてきて落ち着く。ぼけーっといつまでも座っていたい衝動に駆られる。ガイドのウゲンとドライバーのタシがなにやらこさえ始めた。なんだろう?と覗いてみると、紙で作った船に火を点けたローソクを乗せている。灯籠流しのようなものだ。

「いくよー」と行って放流された船は、ほどなくして転覆した。それが3度続き、残念ながら、我々の船の在庫は切れてしまった。

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来た道を戻る途中、道端に蕨がひょっこり生えていたりした。日本ではこれを食べるよ、という話や、ドライバーのタシに「ハンサム・ドライバー」というあだ名を付けて呼んでみたり、ガイドのウゲンは拾った枝で侍の真似事などをしつつ、車へと戻った。夕べ泊まった宿に一旦戻り、ランチを済ませたのちに、復路の山道を戻って行く予定だ。



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ランチでは、相変わらず辛い現地料理をお裾分けしてくれた。ジャガイモ、チーズ、玉葱、唐辛子を混ぜた料理だ。当然辛いが、やはり美味しい。おかわりおかわり。

ランチを済ませて、いよいよ復路。またあの長い山道を進んでいくことになる。

つづく
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by yoshi_nora | 2009-09-11 01:36 | 2009ブータン

3/24(火) その1 『白い鳥』の街

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朝。火力の調整に四苦八苦した薪ストーブは、すっかり冷え切っていた。電源の供給も不安定なこの地域の宿は、申し訳程度の電球とロウソク、緊急用の充電式ランタンが灯りの頼りとなる。そんな心元ない電球では、例え点けていてもあまり足しにはならないので、既に陽が昇っているにも関わらず暗いままだ。

しかしながら、分厚いカーテンを捲ると、途端に陽光が差し込んできて清々しい。若干の肌寒さを感じつつ歯を磨いていると、窓の硝子を叩く音が聞こえてきた。目をやると、昨晩酔っ払っていた氏が「よっ」と手を振っている。外で同じように歯を磨いているようだ(宿はコテージ風で、ドアを出ると直ぐ外になる)。軽く会釈をして外へ出ると、「さっきワイフに電話してね、いやー!WBC日本勝ったよ!」と嬉しそうだ。(氏は、妻をワイフと呼ぶ)

それはよかったですね、と答える。無邪気に喜んでいる姿を見ると、こちらも喜ばしく思ってくる。たしか準決勝だったと記憶しているが、こうなったら優勝してほしいな、と思う。(その後の結果は、ご存知の通り日本が優勝して幕を閉じた)

氏は昨日のうちにブムタン地方を観光し終わっており、今日は直ぐに西へ戻るとのことだ。ぼくは今日見て回って、そのまま強行軍で西へ戻ります、と話す。夕方前にブムタンを去り、途中一泊して西へ戻る予定なのだ。では、と挨拶して別れる。朝食でまた会うかと思ったが、どうやら先に済ませていたらしく、朝食を摂り終える頃には出発していたようだった。



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朝食は相変わらずのメニューであるが、これまでとの違いがふたつあった。ひとつは、バナナパンケーキ(のようなもの)が出てきたこと、もうひとつは、ガイドのウゲンが辛いものを持ってきてくれるようになった。昨晩のエマ・ダツィをもりもり食べる姿を見て、現地メニュー(当然辛い)も大丈夫と思ったのだろう。親切だ。



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朝食を済ませたのちに一旦部屋に戻り、身支度。ガイドたちとの待ち合わせ場所である、入り口近くの駐車場へと向かう。ちょっと早めに着いたようだ。日向ぼっこしている猫に目をやる。犬は何処ででも目にはいるくらい沢山いるが、猫はさほど多くない…気がする。何故だろう。



ほどなくしてガイドの面々と合流、『ジャカル・ゾン』へ向けて出発した。通常は地名=ゾンの名前がセオリーだが、ジャカルについては、その名前になったのはゾン建設後の話で、その前は『チョコル』という地名だったらしい。何故ゾンはチョコルという名前を使わなかったのか、というと。その昔、ゾンの建築場所を探していた際に、白い鳥が小高い丘の上を旋回しており、それを吉兆としてゾンを建てたという言い伝えがある。そのため、地方の名前『チョコル』とは異なる『ジャカル=(白い鳥)』という名前のゾンになったということだ。

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その名前の所為か、一寸気高くも見える。…が、今日は日程の都合上、残念ながら中の見学ができない。ゾンは今も寺院の他に政府施設としても機能しているので、平日の日中は公務員が就業中のため、入ることができないらしい。ウォンデュ・ポダンでのゾン見学が印象的だっただけに少々残念だが、仕方ない。外観だけ遠めに眺めて通過した。



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続いてジャンパ・ラカンへと移動した。ジャンパ・ラカンは、西部パロのキチュ・ラカン(最終日に訪問した)と共に、ブータン最古の寺のひとつとされており、建立まで遡ると7世紀という長きに渡って、この地に佇んでいる。パドマ・サンバヴァがブータンに仏教をもたらしたのが8世紀で、これらの寺はその前から存在していたことになる。

では、何故ブータン仏教伝来の前に、これらふたつの寺が建立されたのか?というと、その昔、チベット建国の王ソンツェン・ガンポが魔物を封じるべくヒラヤ地域に108の寺を建立したという。そのうちの2つがブータンに存在するジャンパ・ラカンとキチュ・ラカンという訳だ。そのため、他の寺で見られるパドマ・サンバヴァではなく、ブッダ像が祀られている。入り口では、数人の老人が、繰り返し五体投地でお祈りを捧げていた。

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中庭に出ると、草を蓄え広々としていた。そこで住民集会のようなものも催されている。ぐるりと一周、マニ車を回しつつ入り口へと戻る。



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続いて、クジェ・ラカンへ。その昔、悪魔を退けるべくパドマ・サンバヴァが瞑想した洞穴があり、その際の背中の跡が壁に残っているとされる(クジェは、その跡を指す)。隣の堂にある別の洞穴では、罪がある者が入ると出てこれなくなるという言い伝えのものもあった。潜ってみたい、と申し出ると、「服が汚れるだけだから、止めておいた方がいいよ」とガイドのウゲンは言い、笑った。「ほら、穴の向こうがここから見えるよ。こっちからこう…続いているだけだよ」と。ああ、そういうものなのかと拍子抜けした。

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クジェ・ラカンの周りには、チョルテン(を模したもの)が壁の上にずらりと並んでいる。ひとつだけ青色に染められたものがあり、そこを基点に数えていくと全部で108個存在するらしい。奥の建物はお寺として機能しており、旅行者は立ち入り禁止となっており、外観だけ眺める。広い庭と背の高い建物が壁際に並んでいるその様は、学校のような印象も受ける。

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クジェ・ラカンを後にする際の門の足下。パイプが並んだ格子がはめられている。これは何かというと、牛が歩いてきて勝手に中に入るのを防ぐためのものだそうだ。牛の足は格子の隙間から踏み外してしまうので、中に入れない…らしい。ただ、見渡す限りは野良牛の類を見ることはなかった。



ここから、もうひとつ訪れる寺まで一寸ハイキングのように歩いていく。車から荷物を出して、てくてくと歩き出す。ここまででまだ午前中。昼前にも差し掛からない時間なのだからな…と、普段感じる時間の経過との違いを感じていた。

つづく
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by yoshi_nora | 2009-09-10 23:59 | 2009ブータン

3/23(月) その3 ブラックマウンテンをまだ越えてなかった

前回の題名と裏腹に、ブラックマウンテンへはこれから向かうのであった。



ランチで満腹になり、昼寝ごろ寝の犬たちを尻目に出発する。しばらく進むと山間の道沿いに展望台らしきテラスが見えてきた。そこから遠めに街を望む。トンサの街だ。往路ではこのまま通過して、復路で立ち寄る予定。しかしながら、このテラスからトンサまでは車で更に30分ほどかかるらしい。山道はくねくねと周り、まっすぐに辿り着くことができない。

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テラスからトンサへと向かう30分。森を抜けると時折、日本ののどかな風景にも通ずるような景色を垣間見ることができた。なかなかに美しい景観が其処此処にあり、トレッキングする旅行者もちらほら見かけた。川沿いのチェックポイントを通過する際に下車して伸びをする。かなり遠くからルンダルが引かれており、太陽の光の下ではためいている。

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往路のトンサ。「ほら、トンサのメインストリートだよ」という一角は、あっという間に通過して終わった。その先は急な上り坂が続き、そこをぐいぐいと登っていく。そこからは、お馴染みの山の風景。2日目にして、これら大自然の景観に早くも慣れてしまった。これだけの自然はなかなかに無いというのに!そのまま、『ヨトン・ラ』という(今度こそ)ブラック・マウンテン擁する難所へと足を踏み入れていく。

途中、かなり荒れた道路を延々と通過していく。揺れる揺れる。酔わないのが不思議なくらいだ。更に上り道を進むと、地元民が大人数で道路の舗装を作業していた。そのおかげで、その先は比較的快適に進むことができる。飛行機も電車もないブータンでは、当然車道はとても重要になる。聞くところによると、周辺の住民に仕事を依頼して道路を管理しているらしい。



飽きるほど登りつめたあと、突然ヨトン・ラの最高地点に到着した。『ブムタン地方へようこそ!』という看板が出迎えてくれる。古くなった大量のルンダルと緑の少ない荒れた景色、標高の高さから来る寒さも相まって荒涼とした印象を受ける。長い車移動に疲れた身体を伸ばしたい気持ちで歩き回るが、寒さにめげてしまう。とりあえず休憩をとることができたので、そそくさと立ち去る。

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ヨトン・ラを越えると中央ブータン、ブムタン地方へと足を踏み入れていく。竹を編んだ柵がなんとものどかな印象で、にわかに景観も変わってきた。今日の移動はとにかく長かった!と思いつつ、まだまだ移動していくのだが、こう風景が変わっていくと長時間であることも忘れてしまう。道のそこかしこに竹が置いてあり、その上をペキペキと通過していく。こうやって車に踏ませて竹を割り、加工しやすくするのだそうだ。例えば、前述の竹の柵を作ったりなどするらしい。近代的な生活の知恵。



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右手に大きな広場と、サッカーで賑わう姿が見えてきた。学校らしく、放課後の校庭でサッカーを楽しんでいるらしい。小学生くらいかな?民族衣装のまま興じている。ボールが転がっていくひとところに、全員がばーっと駆けていく姿が微笑ましい。

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この写真を撮って、んん、暗いな。と設定を調整

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次にこれを撮る。
と、先の写真に映る女学生4人組のうちのひとりが、
カメラを構えている間ずっと、何気にその場に佇んでいた。
初々しいなー。という記念の1枚。



更に(先ほどに比べれば)小さな山間を抜けて、ジャカル地方へと到着した。ここが今日の宿泊地だ。やっと着いた!と宿の部屋に入ると、そこには薪ストーブが。ジャカル地方は標高も高く、夜は気温も下がる。薪をくべて暖をとる機会もないので、ちょっとうきうきする。荷物を置いて、一息ついてからレストランでお茶する。いやいや長かったね、でもここはとてもよいところだよといった話をする。

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一息ついたところで「ちょっと散歩しようか」と、まだ明るいうちに外へ出る。宿のすぐ近くに僧学校があるらしく、そこを見学しに行く。ちょうど夕方の読経の時間らしく、修行中の子供たちが本堂でお経をあげている。あまり覗き込むと邪魔になるかな…と入り口から控えめに覗き込んでいたところ、あとから同じ宿の日本人観光客のかたとそのガイドさんがやってきた。どうやら見学の許可をとっているらしく、そのまま中へと入っていく。

…と、

「きみも見る?」と思いがけず声を掛けられた。「えっ」。おいでおいで、と言いながら先にはいっていく。おおー、とばかりに便乗、本堂の端っこに座らせてもらい見学する。陽も落ちて薄暗くなっていくなか、子供たちの詠み上げるお経の渦にしばし身を委ねた。



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宿に戻り、夕食。かねてより食べたい!と思っていたブータン郷土料理の代表、エマ・ダツィに挑戦することにした。ブータンでは主食のひとつである唐辛子をチーズで煮込んだ食べ物だ。当然辛い。だって丸々入っているのだもの。「君が辛い!と苦しんでいる姿を写真に撮ってあげるよ」と、カメラもスタンバイ済みでぱくっと一口。こういうのは思い切りが大切だ。ひとくちに。

ぱくっ

うん。「美味しい。辛いけど」と返答。カメラまでスタンバってたのに期待はずれのリアクションをしてしまった。申し訳ない。辛いのだけど、ご飯と一緒に食べるとなかなかに美味しい。出された分をぱくぱくっと食べてしまった。



「ここ(ブータン)は、何処で食べても同じものが出てくるのだけれど、どれも美味しいのだよねえ」と、日本人初老の男性に突然話掛けられた。確かにそうですね、と答える。聞くと、長く休みをとってしばらくブータンを回っているらしい。ルートも日程もほぼ一緒で、旅行会社も同じだった。妻をワイフと呼ぶこの男性は、ひどく酔っていたが、話がとても面白く印象的な人物だった。このひとと会ったことも今回の旅の収穫のひとつであったと後で感じた。細かい事情は割愛するが、とても重要な出会いとなったので、備忘録として記しておく。ちょうどWBCの決勝大会が行われており、氏は結果を非常に気にしておられた。



食事後、部屋へと戻ると、留守にしていた部屋は元の通り冷えていた。玄関脇の薪をストーブにくべて火を点ける。火種として、拳くらいはある大きさの松ぼっくりを使用する。たっぷりと松脂を含んだ松ぼっくりは、簡単に火も点いて長持ちもするので、火種としては最適だ。当然ながらあまりない経験だが、簡単に着火することができて一安心。加減はというと、調節が難しく、暑い!といって寝ることができなかったり、火が消えて寒さに目を覚ましたりする一晩だった。

つづく
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by yoshi_nora | 2009-08-28 02:07 | 2009ブータン

3/23(月) その2 ブラックマウンテンを越えて

ワンデュポダンは、交差点がひとつあるだけの町だ。交差点というよりもロータリーか。沢山の車が停まっていて、その周りをぐるりと取り囲むように店などが並んでいる。車と待ち合わせをしつつ散歩する。お店は、大体どこも同じような生活雑貨が置いてあるのみで、目ぼしいものは見当たらなかった。

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街の外れまで歩を進めたところで、車と合流する。「食べる?」と駄菓子をもらった。よくあるガムやチョコといった類のお菓子はあちこちで売っている。この後の旅でも、色々お菓子をもらう場面があった。(子供か)

車は、今日も峠へと向かっていく。今日の初戦の相手は『ペレ・ラ』という峠で、ちょうど西ブータンの境目にあたる。昨日も大変だったが、今日は更にもうひとつ峠を越えてゆく予定だ。

ペレ・ラをぐいぐいと登っていくと、気温も下がり閑散としていく。たまに家や店が数軒建っている程度だ。途中で「HOTEL」と看板をつけた建設中の建物も見かけた。こんな何もないところで?と思ったが、トレッキングなどに利用されるのかしらんと考え直した。(地元人以外に歩いているひとはほとんど見かけなかったが)



昨日同様、飽きるほどの曲がり道を上っていくうちに、空気が少し澄んだように感じてくる。どうやら峠の最高点に到達したらしい。ヤクがぬん、と立ち尽くしていたので、写真を撮りつつ気がついたら大分近づいていっていたところ、獰猛だからあまり近づいて刺激しない方がよいと注意を受ける。

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そこからまた下り道。しばらく経ってから、ネパール式のとても大きなチョルテンが見えてきた。その横には一回り小さな(それでも大きい)ブータン式チョルテンも見える。そして周りには大量のダルシン。チェンデブジ・チョルテンという18世紀頃に建てられたチョルテンだ。

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ぐるりと一回りしていると、壁際に石膏で作ったような小さなチョルテン型の置物が羅列されている。なんだろうと尋ねてみると、亡くなった方の骨で作ったものらしい。

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壁には更に、ゾン・カが刻まれた曼荼羅のような文様が埋め込まれている。聖なる言葉『オンマニペメフム(Om ma ni pad me hum)』と彫られているとのことで、ひとつずつ説明を聞く。蓮の花のなかの宝珠、コレ即ちブッダを表していて、ひとつ唱えては数珠をひとつくびり、繰り返し百八回唱えるのだそうだ。ゾン・カについてしつこく質問していると、「じゃあ、また宿についてからね」と諭される。

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車に戻り、再び旅路へ。すぐ近くのカフェテラスでランチにしようとのこと。ほどなく到着すると、門には犬が待ち構えていた。門をくぐり階段を降りていくと、門番の犬は一緒に歩いて着いてくる。愛いやつだ。そのまま降りていくと、門番のお友達がごろ寝していた。本当にみんな無防備だ。

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ランチは、相変わらずのツーリストメニューだが相変わらず美味い。お腹も膨れてほくほくしていると、デザートにと蜜柑を貰った。皮が硬く剥くのに難儀したが、苦労のかいあってこれも美味。要所々々で民謡に食い付くぼくを察して、ガイドのウゲンは食後にお土産物屋さんで売っていたダムニェンを見せてくれた。が、やはり土産用で演奏に耐えうるものではないので気持ちが盛り上がらずに申し訳ない。

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満腹ですっかり落ち着いたところで、今日は更に歩を進めてもうひとつ峠を越えなければならない。ここから山岳の街トンサを経て、西ブータンと中央部を隔てるブラックマウンテンを越えてブムタン地方へと入っていく。今日の移動行程は、まだまだ先が長い。

つづく
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by yoshi_nora | 2009-08-25 02:37 | 2009ブータン

3/23(月) その1 最初のゾン

朝。夜の静寂とは正反対の、沢山の鳥の声で目が覚めた。昨日の曇天とは打って変わって、すがすがしい晴れた陽射しが眩しい。身支度を整えてから朝食を摂りにレストランへ。朝食は、紅茶にシリアル、トーストといったイングリッシュなブレックファストです。これもまた、旅行者向けに考えて用意されたメニューで、誰もが楽しめるという感じです。(=辛くない。個人的には、やはり現地の料理が食べたい気持ちが強いが)

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食卓に並べられたジャムが、日光に映えてやや蛍光というかすごい色しておりまして。いや待て、これが侮れないやもしれぬ…と思って食してみましたが、とりあえず美味しくはない。その代わり、蜂蜜とチーズはとても美味でした。

朝食後、荷物を纏めて早速出発する。まずは此処、ワンデュポダンの『ゾン』を見学し、その後でまたひとつ峠を越えてブータン中央、ブムタン地方へと入っていく予定だ。



ほどなくして、川沿いの道へと出た。左手に見えるはワンデュポダン川だ。しばらく道なりに進んでゆくと、前から対向車がやってきた。ライトバンのような車の荷台にカラフルな布で飾られたおおきな箱を載せている。ウゲンが、『見て。あれはDead Bodyだよ』と言う。Dead Body、、遺体?ということは、あの箱は棺桶なのか。カラフルな布は、昨日見た五大元素を表す色だった。ブータンでは仏教の輪廻転生の考え方が信じられているから、葬式でも悲しまないし、お墓を建てることもしないとのことだった。



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その後、しばらく進むと川の対岸に小高い丘が見えてみた。丘の上には一際立派な建物が建っている。あれがワンデュポダン・ゾンか。パロでは外観のみだったが、今回は中まで見ることができるので楽しみだ。ゾンは元々要塞で、現在は政府と寺院のふたつの機能を持っているらしい。この立地条件を見ると、要塞というのも納得できる。

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ゾンが建つ丘へと伸びる橋のたもとで一旦停止、昨日と同じくチェックポイントでの手続きだ。ぼんやりと待ちながら、足元に寝そべる犬と川とゾンを交互に眺める。ほどなくしてチェックポイントを通過した。橋で別のDead bodyとすれ違う。随分とよく見かけるな、と思ったが、どうやら、今まさに向かっているゾンで供養しているためのようだった。



急な坂を車でぐいぐいと上っていくと、ワンデュポダンの町に到着した。一旦はそのまま通過してゾンの入り口へ。ここで下車していよいよゾンの見学だ。

「ちょっと待って」。ウゲンが白い布を身体に身に付け始めた。これは『カムニ』という布で、民族衣装の『ゴ』と併せて正装する。ゾンに立ち入る時のドレスコードは厳しく決められていて、ゴとカムニを着用するよう義務付けられている。

「ぼくは?」
「旅行者は許されているから、そのままで大丈夫」

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入り口の門で大きなマニ車を回してから、守衛の兵隊に挨拶して入城。(政府施設を兼ねているので兵隊が居る)



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中は吹き抜けの広場になっていた。周り一面をブータン伝統建築の廊下に囲まれて、なんとも不思議な感じ。手前が政府施設、奥が寺院ということだ。…が、その政府施設の広場では犬がごろ寝し、鶏が甲高い声で鳴いている。のんびりしているなあ。

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広場の地面には白線が引かれている。これは、各ゾンで執り行われる仮面祭り用のものだそうだ。

「君が帰る翌週には、パロで最大の仮面祭りがあるよ」

そうなのだ。日程都合で叶わなかったが、実は帰国して数日ののちにブータン最大の仮面祭りがある。



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更に奥に進むと、寺院の区画に出た。こちら側では僧侶が修行に日々励んで生活を行う場だ。同じ建物で見た目も一緒だが、先ほどの政府施設のスペースに生活感があるのに対し、こちらはがらりと空気が違う。身を引き締める思いで見学。建物内は撮影禁止のため写真には収めていないが、学校で少年僧たちがお経を一心不乱に復唱しているところをしばらく見学していた。此処はとても生活感がある。ゆえにだが、生活と信仰がとても近い距離であることを知った。



その後、来た道を引き返してゾンから退場。我ながら単純だなあと思いつつも、なんとも心洗われるような清々しい気持ちになり、今見たことを頭のなかで反芻しながらワンデュポダンの町へと戻っていった。

つづく
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by yoshi_nora | 2009-07-24 23:59 | 2009ブータン

3/22(日) その5 標高3,150M

立ち往生中の工事車両を横目に、てくてくと歩を進める。まばらに建つ家のてっぺんにはためく布を指して質問する。「あれはなに?」

ブータン(チベット仏教文化)では、至るところで大量の布が張られているのを目にすることができる。質問したのは『グン・ダル(Goen Dhar)』というもので、家の護りと安全を祈願するものらしい。その他、突き立てられた長い棒に布が付いているものを『ダル・シン(Dhar Shing)』、紐に括り付けて横断幕のようにしているものを『ルン・ダル(Lung Dhar)』(書籍ではルンタという言葉を目にしたので、これはヒアリング間違いかもしれない)といい、このふたつは特に、もう至るところに存在する。『ダル・シン』には108の死者の名前が書いてあり、輪廻転生を願うという。『ルン・ダル』には風を象徴する馬と経文が書かれており、五大精霊を意味する色分けが成されている。

 ・赤は、『火』
 ・青は、『空』
 ・白は、『雲』
 ・緑は、『水』
 ・黄は、『土』

『ダル(Dhar)』が、旗的なものを意味するのかなと(勝手に)予測した。

いずれも高所を好んで設置されている。高いところから吹く風に乗り、国中に祈りの言葉が届きますようにという意味らしい。最初は面白がって(不謹慎だ)写真に沢山収めたりしていたが、先のチョルテンとダルシン、ルンダルはあまりにもあちこちに存在するので、途中からはその風景が至って普通という感覚になった。

そんな風景を眺めつつのんびり歩いていると、後ろから車が連なってやってくる。どうやら工事車両が通り抜けて道が空いたようだ。車と合流して乗り込み、あらためて出発する。



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ほどなく、遠目に大きな建物が見えてくる。これはゾンだったかゴンパ(僧院)だったか…失念してしまった。



そして、ドチュ・ラ(ドチュ峠)越えに向かい、延々と山道を登ってゆく。目指す頂上は、遥か3,150M。ずっと上りが続くのかと錯覚してしまいそうだが、しばらくして峠の頂上が近づいてきた。「頂上からは、晴れていると遥かヒマラヤを見渡せるのだよ」、とのことで期待したが、残念ながら雨男がちなのか、パロに続いて頂上に着いた時も、ぽつぽつと雨が降ってきており、雲は厚く垂れ込めていた。「とても綺麗なので、是非見せたいのだけれど…、残念。でも帰りにまた通るから、その時にきっと見れるよ!」との言葉に、復路に期待する。(復路は、更に痛い目に合うことになるのだが、それはまだ知る由もなかった)

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ドチュ・ラの最高地点には、沢山のチョルテンが並んでいた。そして、木々には無数のルンダル。高いところという点では、此処は格好の場所に違いない。吹く風は強く、確かに遥か遠く、低地の街々にまで行き渡ると思わせた。

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犬は、本当に何処にでも居る。



d0007234_3191492.jpg峠の最高地点を過ぎ、あとは下りでさくさくと。…と思いきや、下りと上りが交互にやってくるようだった。一応は下っていっている。はず。「ちょっと休憩しよう」と立ち寄ったのは、「ドチュ・ラ・カフェテリア」。一番高いところに在るカフェ、らしい。車から降りて更に階段を登りつつ、標高も高いし酸素も薄いし大丈夫かしら、と若干身構えていたが、あまり普段と変わりはなかった。

d0007234_3192443.jpg「ここで暖まるとよいよ」と、ストーブ近くに席を用意してくれた。暖まりつつ、お茶とビスケットでふーっと一息。あとは、峠を下れば今日の目的地。もう一息だ。(たぶん)




休憩後、カフェテリアの階段脇に目をやる。先ほどのルンダルが連なっている。手の届くところで見るのは初なので、まじまじと見る。
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さて!目的地まであとちょっと。がんばろう!と出発。
(ぼくは車に乗っているだけだが)



木、木、木、、、。木と山と荒れた舗装路が延々と続く。当たり前だが、山道は変わり映えが無い。それでも飽きずに外をずーっと眺めていると、前方の道端になにかが居る。

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「あ、ヤクだよ。見たことある?」「えー、無い」。車を停めてもらい、横をのしのし通り過ぎるのを見守る。ヤクは寒いところを好む。より気温の低い高地を目指して歩いているようだ。

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ん?よんだ?

(思い返すと、ヤクか牛か、あとになって若干自信がなくなった)



更に下る下る。大分経って、街らしきものが見えてきた。今日の目的地ワンデュ・ポダンだ。…や、やっと着いた。長らく移動してきた感覚だが、思い返すと、今日の午前にブータンに到着したのだなあ。たった半日と思うと、随分時間の経つのが遅く感じる。



d0007234_3204826.jpg宿に着くと荷物を降ろし、夕食前にレストランでお茶。ガイドの職務中は民族衣装の『ゴ』を着ていてブータン感たっぷりのウゲンとタシだったが、本日のお仕事は挙がりということで洋服に着替えていた。一気にカジュアル。曰く、日中の仕事中はフォーマルな格好として『ゴ』を身につけるが、オフは洋服らしい。

お茶をしつつ、ブータン語である『ゾン・カ』について教えてもらう。チベット語とほぼ共通らしいが、どちらにしろ全く分からない。ホーメイを知るようになってから言葉と発音について興味を覚えるようになったのだが、特に母音の種類などが気になって仕方ない。ゾン・カは日本語と同じく『ア・イ・ウ・エ・オ』らしく、なかなか興味深い(専門的な知識は、当然ながら無いので只の興味本位ではあるが)。「あれは?」「これは?」と根堀り葉堀り質問していると、「…とと、そろそろ夕食も近いから、慌てずとも明日以降もゆっくり教えるよ」と。ちょっと食いつき過ぎたか。



部屋に一旦戻ると、疲れがどっと出てうっかり眠ってしまった。宿のお兄さんが呼びに来てくれて眼が覚める。ごごめんなさいね。

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夕食は、お昼と同じ感じで米と、幾つかのおかずを取り分ける形。だが、相変わらず美味しい。旅行者向けとはいえ、食でつらい思いをすることはなさそうだ。疲れを取り戻すべく沢山いただく。



満腹になって部屋に戻ると、またうとうとと眠くなってきた。シャワーは明日に回して(ドライヤーが無い、というのもある)、とっとと就寝。たまに聴こえる犬の鳴き声以外、音は皆無というくらい静かな空気が心地よく、当然ながらあっさり就寝。長い1日だった…!
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by yoshi_nora | 2009-06-07 23:59 | 2009ブータン

3/22(日) その4 パロを発ち、首都ティンプーを経て

広場を後にして、近くのマーケットへと移動する。…と、ここで天気が崩れて雨粒がぽつぽつと落ちてきた。今は3月。ブータンでは乾季(10~5月)で雨は少ないらしいのですが、初日から、雨。ついてないなあと思いつつ歩を進めると、品物を覆ったり店を畳む姿も見られるものの、活気は感じることができる。売っているものはというと、食料など日用品ばかりで目ぼしいものはなかった。

特に目を引いたのは、其処彼処で山積みに売られている唐辛子。ブータンでは唐辛子は香辛料ではなく野菜のようなものなのだよ、と教えてもらう。当然、ブータン料理は辛いということになる。

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メインストリートは、こんな感じ。



マーケットを抜けて、裏手路地から一軒のカフェへ。電気も消えており、やっているのかしらん、と思っていると、奥から店員さんが現れて電気をつけてくれた。曰く、ここでちょっとお茶していこう、と。

ちなみに、お茶代も先に払った公定料金に含まれており、支払いは特に不要。珈琲か紅茶か、と尋ねられたが、ここはやはりということで、砂糖を多く入れたミルクティーをいただく。

d0007234_444316.jpgお茶しながら、ガイドのウゲンに言われた一言。「髪の毛の長い日本人は、初めてだよ。空港で初めて見た時、ワオ!ジャパニーズ・ロックスターが来たよ!と思った」と。そっかそっか。しかーし、ロックスターではありません。しかしながら、こんなことをやっているよ、と、iPod Touchでfockea crispaを聴かせてみた。「ふーん、へえー」と、残念ながら響かなかったらしい。それよりもiPodに興味があるようだ。



お茶を済ませ、さて次は首都のティンプーへ。ドライバーのタシと待ち合わせて乗車、外の景色をしげしげと眺めつつ移動する。すぐに目に入ったのは、また何かしらの競技をやっている姿。先ほどのアーチェリーと同じ空気だが、規模はもっと小さいようだ。「あれは?」

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車を停めてもらい、近くへ行って見学。アーチェリーと並ぶブータンのメジャースポーツ、ダーツだ。小さい矢を想像してしまうが、ここで使われているのは 500mlペットボトルくらいの大きさで、的も数十メートル離れている。あ、あれに当てるの…ぼくじゃあきっと届かない。。他のルールは、大体アーチェリーに沿うようだ。腰に布を下げているひとは上手いひとなのだな。



再び移動し、ちょっとした山道を進む。この後で知ることになるが、この辺りの道路は大分整備されている。往路では分からなかったが、復路で実感した。途中、チェックポイントで通過手続きをとる。兵士(らしきひと)が詰め所に居て物々しい雰囲気かと思ったが、万が一、山道で事故などで行方不明になってしまった時の行動追跡のためらしい。



近くを流れる川沿い、ちょうど川が合流したところに、3つの違った形の仏塔が並んでいる。左からネパール/チベット/ブータン式の仏塔と教えてもらった。仏塔は「チョルテン」というらしい。この3つのチョルテンや、他にも幾つか観光のために歩を停める特別なもの以外にも、あちこちにチョルテンを見かける。チョルテンは必ず右回り、時計回りに歩くのが慣わしで、近くを歩く場合はそれに従う。

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しばらく移動すると、首都ティンプーへと辿り着いた。たしかに、パロに比べると随分と大きい。入国して数時間で、第一、二の都市を訪れたことになる。旅程では、後半また立ち寄ることになっているので、ここでは昼食を摂ってから、直ぐにまた発つ予定だ。

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ティンプーで摂る初めてのブータン料理…は、旅行者向けに用意されたものだ。肉や魚、野菜炒めなど食べ易いものが並ぶ。先ほどパロの市場で見たような唐辛子をふんだんにつかったものが本来のブータン料理らしいが、流石にそれでは厳しいので、ということで用意された献立とのこと。こういうものらしい。ちなみに、これも先の公定料金内なので飲み物代のみ支払えばよい。(紅茶または珈琲は料金内。水やジュース、酒は有料)

やはり現地に来たからには現地の料理を…という野望を抱きつつ、ぱく。んん、美味しい。お米もあってなかなか親近感のあるメニューでした。写真手前の焼きそばが、やけに美味しく沢山頬張る。

ちなみに、以降の食事は何処も大体同じ感じでした。これは、旅行者用にと決められた範囲の中なら献立を作るかららしい。しかし、何処で食べても同じだけど、何処でも美味しい。という感じでした。



昼食後、すぐにティンプーを発つ。今日の目的地はワンデュ・ポダンという街で、それにはひとつ車で大きな峠を越える必要があるので、あまりのんびりもしていられない。



ティンプーを発ってほどなく。

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なんだこりゃ。

道端で停車して待つも、なかなか動く気配もない。「ちょっと先に歩いてこうか」ということで、一旦車を降りて見物がてら歩く。

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どうやら、工事車両を運搬中に陸橋を潜ることができず、一旦工事車両を下ろして潜って、ということをやっていたらしい。続々と後ろに車が連なって渋滞となっていくが、皆のんびり見物。

そんなやり取りを、しばらくの間ぼんやりと眺めつつ、

…。

…今日、目的地に着くのかしら。

と考えていた。
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by yoshi_nora | 2009-06-05 23:59 | 2009ブータン

3/22(日) その3 パロの休日

「あれは、なにをやっているの?」

パロに入ったところの賑々しい一角を指して質問する。「ああ、あれ。あれはね…OK。ちょっと見ていこう」。車を端に停め降ろしてもらう。門をくぐって広場へ入ると、更に賑々しい歓声と、時折歌声も聴こえてくる。丁度会場と思しきところに着いたところで、男性たちが一方を見やりつつ歌い踊る仕草を見せている。「これはね…」

説明を聞くと、どうやら日曜のアーチェリー大会のようだ。言われてみると、たしかに男性陣は皆、小脇に弓を抱えている。競技用のアーチェリーで割と近代的なものだ。曰く、竹を使った古い弓で競技する場合もあるらしい(勿論、そっちを見てみたいと思ったが、その後の道中では一度遠目に見掛けただけだった)。そんな大会なら直ぐに気づいてもよさそうだが、気づかなかったその理由は、、、距離。

よく見ると、肩を組んで踊っている男性陣の足元に70~80cm程度(目測)の白い的が置いてある。其処に描かれている的の円は、当然ながら更に小さい。それを狙うは…遥か向こう110m先!

ということで、矢を放つ現場はもう全然見えない訳です。言われて気づき、何度かよーく見ているうちに、射手の動作をなんとなく感ずることができるようになる。とはいうもののそこまでで、射るところまではなんとか分かるようになるものの、矢を目で追うことはもう出来ず。しゅぴ!…と、射ったなと思った次には、こちらにざくりと矢が刺さる。(ちなみに、ギャラリーの皆さまはもれなく目で追っておられるようでした)

ブータンでは、成人男性のほとんど(80%と聞いた)が、アーチェリーを嗜むそうです。チーム別で向こうとこちらとに分かれ、交代に矢を射って得点を競うそうな。素人目には、当たるだけでも神業に見えますが、的の位置によって更に得点が分かれるらしい(的に当たると2点、円内だと3点)。腰に下げる布は的を射た証で、命中するたびに一枚づつ増えていく(布はもれなくカラフル)。中心に当たれば歌い踊り、的を外した場合は「もっと上だ!」「届いてないぞ!」といった具合に囃したてる。

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向こうから、

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こちらを射るわけです。
(攻守変わると、こちらから射ることになる)
皆さん、大体的近くには着弾するので、

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矢が飛び交う間に、人やら犬がのんびりと休んでいます。

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一射毎に、命中を祝ったり囃したてたりします。

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弓を構える勇姿。



会場の活気と矢を射る正確さに、しばらくあんぐり口を開けて見ていると、今度はその横から女性の歌声。アーチェリーの会場横では、女性が輪になり歌い踊っていました。更に隣にはふたりの楽隊。サントゥールと思しき楽器と、、ダム・ニェンだー!来て初日に演奏見れるとはー。とやや興奮気味に聴き入る。

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「ブータン人の遊びは、男性はアーチェリーで、女性は歌と踊りなんだよ」

というステキな休日の過ごし方に触れ、ほっこりとした気持ちになるのでした。

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足下では、犬ものんびり。

つづく

★ ☆ ★ ☆ ★ ☆

えーと、まだ初日午前中で全然話が進みません。
終わるのか、という懸念。
ちょっとペースを速めます。
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by yoshi_nora | 2009-05-18 23:59 | 2009ブータン


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